目覚める男。體が思うように動かないようだ。そこに近付く男。動かない體で、何とか逃げようとする男。ゆっくりと追い詰めていく何者か。やがて男の體に、兇器が振り下ろされ―――。細かい仕事で何とか食い繋ぐ日々が続く自身の現狀に、行き詰まりを感じていたフリーの映像ディレクター堺洋一。自宅兼事務所のマンションに帰ると、荷物と手紙が屆いていた。手紙には“私の活動を記録してくれませんか?一度ご連絡下さい。きっと、興味を持って頂けると思います”の文字。そして、仕事に溢れた堺は、軽い気持ちで荷物を開け、愕然とする―――。中には、人間の指が一本入っていた。「……!」言葉を失う。警察に電話しようとするが、直前でその手を止め、考え込む。「これは、人生を変えるきっかけになるのでは……」そんな予感で、書かれていた連絡先にコンタクトを取る事にした。そして、指定された郊外に佇む家を訪れる。中に入ると、堺洋一を迎えたのは、一人の男、光見京だった。光見京と出會った事で、殺人の記録を撮り続ける事になった堺洋一に何が待ち受けるのか…。